先週に引き続き、今回も暗黒時代の横浜ベイスターズ(現・横浜DeNAベイスターズ)について語りたい。
この記事を読むにあたっては、前回の記事をご一読頂ければ幸いである。
さて、今回はこの暗黒時代に起こってしまった悲しすぎる出来事の一部を、紹介したい。
この時代を振り返るのは、懐かしいような気分が沈むような、何とも言えないが……
暗黒を脱した今だからこそ、忘れてはいけない気もする。
それでは、私の備忘録的な意味合いも兼ねて、横浜の暗黒史を紐解くとしよう……
目次
監督、壊れる?
絶望的な惨敗が始まった2008年、当時の大矢明彦監督が壊れる(?)事件が発生。
まとめると、
- 監督が「ねえ、そうだろ?」と壁に話しかけていた
- 「明日、オレ、来ないかもしれないよ」と発言
- 自殺をほのめかすかのような発言
そもそものソースがかなり胡散臭い週刊誌の上、最初にこの騒動が紹介された2chのスレも過去ログが吹き飛んでいるため、正直この話の信憑性は保証できない。
とは言え、この記事が出た時点で14勝34敗でぶっちぎりの最下位。
ファンからのヤジやヘイトも最高潮に達しており、どっかしらおかしくなっても仕方は無かろう。
どれだけ当時監督が叩かれていたかを知りたい方は、「やる大矢」でググれば分かる。
90年代中頃に横浜を率いた時は、優勝一歩手前まで行ったことを考えれば、選手にもかなりの責任があろうが……そこで非難を一身に集めてしまうのはトップの宿命か。
ちなみにこの大矢氏、成績不振で2009年途中で監督を退任。しかしその後はラジオを中心に野球解説者として活躍している。
どうにか、完全には壊れなかったようで何よりだ。
本拠地なのに……相手ファンの方が多い?
先に断っておくがこれは私の主観であり、明確なエビデンスは無い。
とは言え、もし読者の中に当時からベイスターズファンだった方がいれば、必ず分かるはず。
同じセントラル・リーグの中には、巨人や阪神といった全国的に名を知られるチームが存在し、
こと暗黒時代においては、本拠地がある神奈川県内においても、人気面でこれらの球団の後塵を拝する状況が続いた。
となると、以下のような事態が発生する。
- 本拠地・横浜スタジアムなのに阪神ファン、巨人ファンの方が多い(阪神の本拠地は兵庫県)
- 阪神ファンが、横浜ファンが陣取るはずの座席にいた
このような事態は、私が実際に球場に行った2010年ごろに発生していた。
これを目撃した私がどう思ったかと言うと……
と、ある種悟りの境地に達し、特に何も思わなかった。
「僕自身、横浜を出る喜びはあった」
2010年末、内川聖一という選手がFA権(一定期間活躍した選手が、任意の球団に移籍できる制度)を行使。福岡ソフトバンクホークスへ移籍した。
彼はこの年まで横浜の主力選手として活躍してきたが、語ると長いので詳細はWikipediaを確認して頂きたい。
絶望的な低迷の真っ最中の横浜から、この年パ・リーグを制したソフトバンクへの移籍(しかも大分出身の内川にとっては地元・九州でのプレーだ)。
この環境の劇的な改善に、彼自身期待するところがあったのか?あるいは、横浜であまりに絶望に浸り過ぎた疲れからなのか?あるスポーツニュースに出演した際彼は、
「僕自身は(横浜を)出ていく喜びはありますけど」
と発言。明らかに当時のチームに問題があったとは言え、これには多くの横浜ファンが激怒。しかし内川は弁解するどころかその後も、
- ここにいたら自分がダメになると思った(某タブロイド紙の取材にて)
- 横浜の時は借金(注)から始まっていた(スポーツ紙の取材にて)
(注)借金:野球リーグにおいて、「チームの勝ち数」マイナス「チームの負け数」の意。
と、古巣を煽るような発言を連発。
結果、2chでは内川に「畜生」を意味する「チック」なる蔑称が付けられ、しばらくの間大いにネタにされた。詳細はこちらで確認して欲しい。
また、横浜ファンからはネタにされるだけでは飽き足らず、横浜の本拠地・横浜スタジアムにて行われた横浜対ソフトバンク戦で、大ブーイングを浴びてしまった。
まあ、彼の発言の数々は確かにやや配慮を欠いたものであろう。
しかし、この時代の横浜は選手・スタッフともモチベーションが異常に低く、チーム内のモラルが完全に崩壊していたという話もある。
暗黒時代の中で、リーグトップの打率を残した内川にとって、決して納得してプレーできる環境で無かったと言える。
そう考えた時、私はこの騒動を、単なる「元主力選手の放言」と捉えるべきでは無いと感じる。
「底の底まで落ちてしまった球団の成れの果て」と、「そこでプレーしても報われなかった男の悲劇」だと、私は思う。
そしてそうであるが故に、暗黒時代を象徴する事件の一つであると感じている。
さて、ここからは余談。
時は流れて2017年。横浜改めDeNAと、内川がキャプテンを務めるソフトバンクとの日本シリーズが行われた。
結果は、ソフトバンクの日本一。そこで彼が語ったコメントは、
「ボク自身が横浜にいた頃は、日本一になるという意味をファンのみなさんに持ってもらうような機会もなかったので、そういうところまで押し上げてくれたベイスターズの選手のみなさんに感謝しないといけないなと思います」
(出典:http://news.livedoor.com/article/detail/13847447/)
と、いったもの。
世間からは古巣への批判で、過度にヘイトを買ってしまった彼。
しかし、苦しい時間を過ごした古巣への思いは、確かにあった。
この日本シリーズ前後で語られた内川のDeNAに関する発言で、彼への評価を改めたDeNAファンもいるとかいないとか(俺とか)。
暗黒時代が、過去の物語となったことを象徴する一幕と言えるかも知れない。
終わりに
いい加減尺も無くなってきたし〆切を普通に過ぎてしまった。ここらで切らせて頂く。
今回、3つのエピソードを取り上げてきたが、前回同様これも氷山の一角だ。
気になった人は「ベイス 暗黒」とか「ベイスボール」でググってみるといいかも知れない。
まあ、私個人としては冒頭で述べた通り、暗黒を脱したからこそ忘れてはいけない歴史だと思う。
いかに過去から進歩したか。
いかに今の選手たちが活躍しているか。
いかに負けが込もうとも、この時代よりどれほどマシか。
そうしたことを思い起こすきっかけとなるからだ。
球団の人気が高まり、この時代を知らないファンが増えたからこそ、多少ファン歴が長い私としては、記憶に刻んでおきたい。
長くなってしまったが、それでは失礼。
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